福岡高等裁判所 平成7年(行コ)17号 判決
福岡県筑紫野市大字武蔵四八二番地の二
控訴人
アンデルセン薬局有限会社
右代表者代表取締役
高野英子
右訴訟代理人弁護士
丸山隆寛
同
藤井信孝
福岡県筑紫野市大字二日市七〇八番地五
被控訴人
筑紫税務署長 二宮武勝
右指定代理人
大西勝滋
同
阿部幸夫
同
岡本修一
同
石橋一男
同
福岡久剛
同
田島敏行
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一当事者が求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対して平成五年三月二二日付けでした平成四年八月一九日から同年一〇月三一日までの課税期間分の消費税についての更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を、いずれも取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二事案の概要
原判決「第二 事案の概要」(二枚目表三行目から一〇枚目裏六行目までに記載)のとおりであるから、これを引用する。
第三当裁判所の判断
一 当裁判所も、控訴人の請求は理由がなく棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決「第三 争点に対する判断」(原判決一〇枚目裏八行目から一五枚目表七行目までに記載)のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一一枚目表六行目「明らかである」を「明らかであり、控訴人は、本件確定申告において税額控除の計算方法として一括比例配分方式を選択しているから、控訴人の本件課税期間における控除対象仕入税額は、法三〇条二項二号の規定により〇円となり、控除不足還付税額は発生しない」と改め、同裏二行目「調整対象固定資産の」を削り、同四行目「理由がない」を「理由がなく、被控訴人が本件更正処分をしたことに違法はない。」と改める。
2 原判決一二枚目表初行末尾に「右各規定の文言に照らせば、同法は、単に、納付すべき税額が増加する場合に限らず、還付金の額に相当する税額が更正により減少する場合についても、その減少する部分の税額について過少申告加算税賦課の対象としていることが明らかであり、この点は、同法六五条四項が、更正前の税額の括弧書きとして「(還付金の額に相当する税額を含む。)」と規定し、更正によって減少する還付金の額に相当する税額に対しても、過少申告加算税が賦課されることを当然の前提としていることからも裏付けられるものというべきである。」を加え、同裏初行「そして」から一三枚目表二行目までを次のとおり改める。
「同法二八条二項三号ロは、「その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは、その減少する部分の税額」を更正通知書に記載すべきものとし、同法三五条二項二号が更正通知書に記載された同法二八条二項三号イからハまで(更正により納付すべき税額)に掲げる金額を国に納付すべきものと規定しているが、右の各規定は、還付請求者が現実に納税義務を負っているか否かを区別していないのであって、本件のように、事業者が当該課税期間において課税資産の譲渡をしていないため、消費税の納税義務がなく、単に控除不足還付税額の還付請求をしたような場合であっても、過少申告加算税賦課の対象となるものと解すべきである。控訴人は、法四六条の規定に基づいて提出する確定申告書により還付請求する還付金は、国税通則法二条一項六号にいう還付金には該当しない旨主張するが、独自の見解であって採用の限りでない。」
3 原判決一四枚目表八行目「(甲」から一五枚目表五行目までを「の処分の内容が不可解であると主張するが、その点は、本件各処分の適法性に何ら影響を及ぼすものではないというべきである。」と改める。
二 よって、控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、控訴費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 高升五十雄 裁判官 古賀寛 裁判官 吉田京子)